ヨドコウ迎賓館館長が行く アメリカ東部、F.L.ライト建築を巡る旅[3]


ヨドコウ迎賓館館長 岩井 忠之

2015年10月より副館長を務め、2016年4月より現職。2017年6月にアメリカのライト作品を巡る「フランク・ロイド・ライトツアーイースト」に参加。


3日目 ~ホーム&スタジオ~

オーク・パークにはライト初期の作品が多く残っています。
次に向かったライト自邸&スタジオ(Home&Studio)は1889年、まだサリバンの事務所で働いていた22歳のフランク・ロイド・ライトが
設計した建物です。一人目の妻であるキャサリンと6人の子どもと共に、約20年間をこの場所で過ごしました。

こちらは自邸の入口です。
自邸の入口
中に入り、エントランスの装飾です。
エントランスの装飾
天井や天井付近にも細かい装飾が見られます。
天井の装飾
迎賓館とよく似た照明もありました。
照明
リビングルームは出窓のようになっており、作り付けのソファがあります。
リビングルーム

ご夫妻の寝室です。天井はアーチ状になっていて、壁画が描かれて独特の雰囲気です。
ペンダントライトはライトのデザインです。画は別のデザイナーによるもので、アメリカ先住民がモチーフになっているそうです。

寝室
ペンダントライト
天井がアーチ状の狭い廊下の先に、この家の“宝石”とも称される子供のプレイルームがあります。
プレイルームへ続く廊下
そのまま抜けて、子供用プレイルームです。
部屋の奥にある暖炉の上に描かれている壁画は、子どもの好きなアラビアンナイトのシーンだとか。
プレイルーム暖炉
部屋の上にはステージがあり、子供たちが演奏などをしていたそ
うです。
ステージの左下にあるのはピアノです。小さく見えますが、実は後ろの弦の部分が部屋の裏にある階段に突き出ています。すごい発想ですね。突き出たピアノには「Please watch your head.(頭上注意)」と書かれた札がかかっていました。
プレイルームステージ
天窓には美しい装飾が施されています。入口の天井もそうでしたが、この家には植物をモチーフにしたようなデザインが多くあります。このあたりは、ライトの師であるサリヴァンの影響なのかもしれません。
天窓の装飾
この部屋にも大きな出窓があり、天窓とともに部屋を明るくしています。
大きな出窓
自邸の続きのスタジオです。
スタジオ
入口の前には、コウノトリの彫刻を施した柱があります。
コウノトリは、繁栄や知恵などの象徴になっているそうです。
コウノトリの彫刻
柱の上の庇部分に男性の像もあります。
これは、これから立ち上がる様を表現しているそうです。
男性の像
入口を入るとレセプションルームがあり、天井の美しいステンドグラスが迎えてくれます。
ステンドグラス
スタジオ内のDrafting room(設計室)です。
ここで、ロビーハウスを始め100件以上の設計が行われました。
設計室
中央の通路を挟んで左右に製図用のテーブルが並んでいます。
製図用のテーブル
天井はドーム型になっており、チェーンが縦横に張られています。
このチェーンはバルコニーや壁を吊っていて、天井のデザインをすっきり見せるためにこのような構造にしたそうです。
ドーム型の天井
ライトの自室です。
奥に見える窓ガラスは、縁どられたような模様の中に外の景色が入って額縁のように見えました。
ライトの自室
天井には、やはり美しいステンドグラスが入り、この色合いもあってか部屋が明るく感じます。
ステンドグラス

今までのライトのイメージとはかなり異なるデザインの建物でしたが、ライトの初期の建築に触れることができて、大変興味深く貴重な見学となりました。また、ガイドさんがライトの逸話を交えながらユーモアあふれる解説をしてくださって、大変楽しい時間を過ごすことができました。

次回はオーク・パークにあるユニティテンプルをご紹介します。

この記事は2017年10月20日にヨドコウ迎賓館のブログに掲載されたものです。
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