ヨドコウ迎賓館館長が行く アメリカ東部、F.L.ライト建築を巡る旅[5]


ヨドコウ迎賓館館長 岩井 忠之

2015年10月より副館長を務め、2016年4月より現職。2017年6月にアメリカのライト作品を巡る「フランク・ロイド・ライトツアーイースト」に参加。


4日目 ~オーク・パーク~

オーク・パークは、フランク・ロイド・ライトの建築が最も多く集まっている場所です。公園の水飲み場を含めると初期の作品が27件あります。
この日はオーク・パーク内のホテルに宿泊していましたので、せっかくの機会と地図を片手に朝6時前から散策してみました。一帯は閑静な住宅街で、緑に囲まれた素晴らしい環境でした。
時間がなくて一部しか見学できませんでしたが、写真をご覧ください。

ロバート・P・パーカー邸(1892年)
トーマス・H・ゲイル邸(1892年)

同時期に建てられたこの二つの家は外観がとてもよく似ており、八角形の構造が特徴的です。間に一軒挟んでいますが、夜だったら間違えてしまいそうです。

ウォルター・H・ゲイル邸(1893年)
こちらも初期のライトの作品で、急勾配の屋根と円柱のホールが特徴です。
ネイサン・G・ムーア邸(1895年)
一度火事で再建されたそうですが、鋭い屋根の角度と迫り出したバルコニーが印象的でした。
正面からは見られませんでしたが、やはり左右対称の造りに見えます。
フランク・W・トーマス邸(1901年)
アーチ型の玄関、せり出した庇が特徴で、遠目で見ても窓ガラスの装飾の細かさに驚きます。
この頃にはプレーリースタイルらしさが出てきています。
アーサー・B・ヒュートレイ邸(1902年)
煉瓦の壁、アーチ型の玄関、庇付近までの連続窓が特徴的でした。
エドワード・R・ヒルズ邸(1906年)
ピーター・A・ピーチ邸(1906年)
ウィリアム・H・コープランド邸(1909年)
コープランド邸は、1870年代に建てられた家を1909年にライトが外観の一部と内装をリフォームしたものだそうです。
今回巡った作品以外も含めて、オーク・パークにあるライトの作品を地図にまとめてみました。
徒歩ですべてを見るには2~3時間かかりそうです。また、”ライト風”の建物も多く、探すのに少し苦労しました。

オーク・パークにあるのは、ほとんどが1890~1910年頃の作品です。中には「これがライトの作品か︖」と思うような住宅もあり、ここから“有機的建築”が始まったのかと思うと、感慨深いものがありました。ライトファンなら一度は訪れたい場所ですね。
アーネスト・M・ヘミングウェイの生家
それから、ライトの設計ではありませんが、ホテルの近くにノーベル賞作家のアーネスト・M・ヘミングウェイの生家がありました。オークパークの出身だったのですね。
近くにミュージアムもあり、ガイドツアーが行われているようです。
この日はこの後、プレーリースタイルの代表作、ロビー邸を訪れました。次回にご紹介します。
この記事は2017年11月9日にヨドコウ迎賓館のブログに掲載されたものです。
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