ヨドコウ迎賓館館長 岩井 忠之
2015年10月より副館長を務め、2016年4月より現職。2017年6月にアメリカのライト作品を巡る「フランク・ロイド・ライトツアーイースト」に参加。
4日目 ~ロビー邸~
早朝にオークパークを散策した後、ホテルから大型バスで、プレーリーハウスの最高傑作といわれるフレデリック・C・ロビー邸に向かいました。
バスから撮ったシカゴのビル街です。
天気も良く、緑も多くて綺麗でした。
ロビー邸はシカゴ大学のキャンパス内にあります。
その前に同じキャンパス内にある、ガラス張りでドーム型の図書館の外観を見学。ライトの設計ではありませんが、近未来的で目を引く建物です。
そしていよいよロビー邸に到着しました。
想像していた以上の豪邸です︕
道路の反対側から撮りましたが、建物が横に長いため、正面からでは普通のレンズで撮ろうとしても1枚に収まりません。
次の写真は良く目にする写真ですね。街路樹があるため、建物だけを撮ろうとするとこの角度になります。
大きく張り出した屋根や、壁の白いラインが横の拡がりを強調しているので、この写真を見る限りではそれほど大きさを感じませんが…実際に見てみるとかなり大きな建物です。
大きく張り出した屋根や、壁の白いラインが横の拡がりを強調しているので、この写真を見る限りではそれほど大きさを感じませんが…実際に見てみるとかなり大きな建物です。
壁にはレンガが使用されています。
このレンガをよく見てみると、目地の縦の部分だけ赤く塗られています。
横の白いラインを強調するためですが、目地の縦ラインは一直線になっていませんので、塗る手間を考えると気が遠くなりそうです。
このレンガをよく見てみると、目地の縦の部分だけ赤く塗られています。
横の白いラインを強調するためですが、目地の縦ラインは一直線になっていませんので、塗る手間を考えると気が遠くなりそうです。
見学ツアーの開始まで時間があったので、ショップで時間調整をしました。
ここはもともとガレージだったようで、2階は使用人の部屋になっていたそうです。
ここはもともとガレージだったようで、2階は使用人の部屋になっていたそうです。
玄関は建物の裏にあり、周辺の道路からはすぐにはわかりません。写真の右側が表通りで、左側の奥が入口です。
このように、入口が狭くて目立たないところに造られているのもライト建築の一つの特徴ですね。
このように、入口が狭くて目立たないところに造られているのもライト建築の一つの特徴ですね。
玄関から建物に入ると、やはり天井はかなり低くなっています。
天井の階段部分は、上がる時に頭を打たないよう丸くカットされていました。
天井の階段部分は、上がる時に頭を打たないよう丸くカットされていました。
階段を上がると、明るく広々した空間が広がっていました。
階段を中心に、西側がリビングルーム、東側がダイニングルームになっていて、次の写真はリビングルームの北西側です。
階段を中心に、西側がリビングルーム、東側がダイニングルームになっていて、次の写真はリビングルームの北西側です。
こちらは南側です。
大きな美しいステンドグラスの窓が並んでいます。
窓の外にあるバルコニーの腰壁が道路からの視線を遮り、大きく張り出した庇は太陽光が部屋の奥に射しこむのを防いでいます。
このように、プライバシーを確保しながらも景色の良い快適な空間が作られていました。
大きな美しいステンドグラスの窓が並んでいます。
窓の外にあるバルコニーの腰壁が道路からの視線を遮り、大きく張り出した庇は太陽光が部屋の奥に射しこむのを防いでいます。
このように、プライバシーを確保しながらも景色の良い快適な空間が作られていました。
そして中央にある暖炉です。
暖炉の後ろに階段があり、その奥がダイニングルームになっています。壁はなく部屋がつながっているため、暖炉の上からもダイニングルームの天井が見えていますね。
暖炉の後ろに階段があり、その奥がダイニングルームになっています。壁はなく部屋がつながっているため、暖炉の上からもダイニングルームの天井が見えていますね。
階段のダイニングルーム側にある作り付けの家具です。
暖炉・階段・家具は一体になっていて、これがリビングとダイニングの間仕切りになっています。
暖炉・階段・家具は一体になっていて、これがリビングとダイニングの間仕切りになっています。
ダイニングルームです。
ライト特有の、背もたれが高くて格子状になっている椅子も奥に置いてあります。“ロビーチェア”として有名ですね。
ライト特有の、背もたれが高くて格子状になっている椅子も奥に置いてあります。“ロビーチェア”として有名ですね。
折り上げ天井の低くなっている部分には、変わったデザインの木がはめ込まれ、ダウンライトになっています。
ご夫妻の寝室です。
やはり美しいステンドグラスが並んでいます。
ライトは、住宅や道路が近接しているところではステンドグラスを使用し、自然に囲まれたところでは、室内からも景色を楽しめるよう透明なガラスを使用することが多かったようです。
やはり美しいステンドグラスが並んでいます。
ライトは、住宅や道路が近接しているところではステンドグラスを使用し、自然に囲まれたところでは、室内からも景色を楽しめるよう透明なガラスを使用することが多かったようです。
専門的なことはわかりませんが、全体的にゆったり作られていながら、プラベートスペースには程良い狭さもあり、居心地の良さそうな住宅でした。ロビー家は14ヶ月間しか住まなかったそうですが、もったいないですね。
4日目 ~ミース建築(IIT、レイクショアドライブアパートメント)~
ロビー邸見学後は、近代建築家の三大巨匠の一人である、ルードヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエの建築があるイリノイ工科大学(Illinois Institute of Technology、以下IIT)に向かいました。ちなみにミースはIITの教授も務めていたようです。
キャンパス内は出入が自由で大型バスも入っていきました。日本では考えられないのではないでしょうか︖
最初に、ミースの設計ではありませんが、McCormick Tribune Campus Centerという、日本で言うところの学生会館のような建物に寄って昼食をとりました。
ここには講堂・書店・ミーティングルーム・カフェ・コンビニなどがありますが、この日は休日でしたので閑散としていました。
電車の高架の下にある平屋の建物が会館です。なんとトンネルと建物がくっついていました。
ここには講堂・書店・ミーティングルーム・カフェ・コンビニなどがありますが、この日は休日でしたので閑散としていました。
電車の高架の下にある平屋の建物が会館です。なんとトンネルと建物がくっついていました。
この会館の中には、面白いオレンジ色の窓があります。
ガラスの間にハニカム状のものが挟まっていて、角度によって見え方が変わります。また、外から光が当たると光の輪がサッと広がり、最初は電飾かプロジェクターを使用しているのかと思いました。
ガラスの間にハニカム状のものが挟まっていて、角度によって見え方が変わります。また、外から光が当たると光の輪がサッと広がり、最初は電飾かプロジェクターを使用しているのかと思いました。
ミース設計のクラウン・ホールです。建築学科の施設として使用されています。
まさに鉄とガラスの建物ですね。梁を外に出すことで内部を広くしているそうで、機能重視です。
IITのキャンパス内にミース設計の建物はたくさんありますが、チャペルもありました。 小さくて、シンプルですね。
ミースの作品としては珍しいレンガ造りです。
ミースの作品としては珍しいレンガ造りです。
中もとてもシンプルです。
装飾性豊かなライト建築とは対照的なデザインです。
装飾性豊かなライト建築とは対照的なデザインです。
IITを出て、空港に向かう途中でもう一件ミース建築を見学しました。
ミシガン湖のほとりに建つレイクショアドライブアパートメントです。やはり鉄とガラスでできた高層ツインビルです。
ミシガン湖のほとりに建つレイクショアドライブアパートメントです。やはり鉄とガラスでできた高層ツインビルです。
“アパートメント“ですので、出入口には屈強そうな警備の人がいました。
65年以上前の竣工時では斬新な建物として、かなり話題になったそうです。
変わった名称ですが、建物の前に「レイクショアドライブ」という道路がありますので、これが由来だとか。
奥に見えるのがミシガン湖、手前がその「レイクショアドライブ」です。幹線道路の一つらしく、結構渋滞していました。
ここからオヘア空港に行き、今回の目玉の一つである「落水荘」に向けてピッツバーグへ移動します。
この記事は2017年11月17日、11月22日にヨドコウ迎賓館のブログに掲載されたものです。