ヨドコウ迎賓館館長が行く アメリカ東部、F.L.ライト建築を巡る旅[9]


ヨドコウ迎賓館館長 岩井 忠之

2015年10月より副館長を務め、2016年4月より現職。2017年6月にアメリカのライト作品を巡る「フランク・ロイド・ライトツアーイースト」に参加。


6日目 ~グッゲンハイム美術館~

ライズリー邸を見学後はマンハッタンに戻ってきました。
ニューヨークで有名なライト建築といえば、お分かりですね。グッゲンハイム美術館です。

グッゲンハイム美術館
三方をビルに囲まれていることもあるかもしれませんが、外観は思っていたよりも小さく感じました。
ただし、形がユニークですので目立ちます。まさしくかたつむりの貝殻のイメージですね。
かたつむりのような外観
建物の東側(写真右側)はセントラルパークです。
東側(写真右側)はセントラルパーク
中に入ると中央が吹き抜けになっていて、天井から自然光が入り大変開放的な空間です。
天井から自然光が差し込む
天井です。
ライトの設計には、このような大きな施設でも住宅でも、美しい天井を持つ建物が多くありますね。
天井
最上階から1階の写真です。
最上階から1階を望む
最初にエレベーターで6階まで上がって、螺旋状に降りながら作品を見ていきます。通路の奥にも展示スペースがあり、思っていた以上に多くの作品が展示されていました。

6月のブログにも書きましたが、“展示する美術品以上に注目される”と言われる建物ですので、先ず建物を見ながら写真を撮り、それから絵を見始める、という人がほとんどでした。
階段がなく、ずっと緩やかな下りですので歩くのは比較的楽ですが、斜面に立って水平に展示してある作品を見るのは少し違和感がありました。

展示スペース
昼食は3階のカフェでいただきました。ここには工事中の大きな写真パネルなどが展示してあります。
ゆっくり見学してからミュージアムショップで買い物をして次の目的地に向かいました。

6日目 ~ニューヨーク近代美術館~

最後の見学は、ニューヨーク近代美術館(The Museum of Modern Art、以下MoMA)です。

正面の入口です。
ここには目立つような看板などがなく、最初はどこがMoMAの建物なのかわかりませんでした。
MoMAとわかるのは、入口の上にある看板だけです。
MoMA看板
MoMA正面入口
ここで開催している「ライト生誕150周年展(Frank Lloyd Wright at 150、Unpacking the Archive)」が目的です。
ライト生誕150周年展
展示場の案内図です。
かなり広いスペースをテーマごとに12の部屋に仕切って、図面・模型・写真など、さまざまな資料が展示されていました。
デザインの下絵や美しいパースなどは、建築家ではなくても十分楽しめます。
展示場案内図
入場者は多く、皆さん熱心に見学されていました。
帝国ホテルのコーナーもあり、図面や椅子・テラコッタなどの展示がありましたが、残念ながらヨドコウ迎賓館の資料はありませんでした。
会場の様子
図面や模型はもともとライト財団が所有していましたが、現在は、図面はコロンビア大学のエイヴリー建築・美術図書館(Avery Architectural & Fine Arts Library)が、模型はMoMAが管理しているそうです。今回の企画は、コロンビア大学とMoMAの共催で行われました。
大変興味深い資料がたくさんありましたが、英語力の不足により内容を十分理解できなかったのが残念です。

以上で5日間のフランク・ロイド・ライトの建築ツアーは終了です。

ツアー最後の夜は、遠藤さんやツアーの方々とレストランで食事をしました。
驚くことに、これで前菜です。(毎日食べたら確実に太ります)
味については「アメリカの食事は期待しない方が良い」という話をよく聞きましたが、結構美味しい料理も多く、今回はほとんど問題ありませんでした。
驚きの前菜
食事を終えた後はブロードウェイ周辺を散策してきました。

大変な人出で、写真を撮りながら歩いていると、近くにいた女性が突然前に立ってポーズを取ってくれました。フレンドリーなアメリカらしいと喜んでいたら、添乗員の方に「コンビのスリもいるから気を付けて︕」と言われました。なるほど、一人が気を引くわけですね…︕

それはさておき、ブロードウェイのシアターには多くの人が並び、タイムズスクエア周辺はきらびやかな光に包まれ活気にあふれていました。

賑わうブロードウェイ
ブロードウェイ散策中に遠藤さんが購入されたお土産が3個入りだったので、1個いただいて孫にあげたら喜んでいました。

ハンドスピナーです。真ん中を支えてぐるぐる回すだけというシンプルなおもちゃですが、2016年末頃からアメリカで流行り始めたそうです。

ハンドスピナー
翌日は、ニューヨーク→シカゴ→成田→伊丹という長いフライトで帰国し、今回の充実したツアーは無事終了です。

シカゴのオヘア空港では、シカゴ創業のギャレットポップコーンの店を探して、キャラメル味とチーズ味のミックスをゲットしました。日本には5店しかないようで、大阪はエキスポシティーにあります。

ポップコーン
最後に、ツアーの総括を。

初めてのアメリカでハプニングもあり、結構忙しい8日間でしたが、本当に有意義で楽しい旅行でした。
そして今回のツアーでは「有機的建築」が少しわかったような気がします。特にライト建築は、周辺環境を含めて見ることが大切だと実感しました。

背景を含めた外観はもちろん、室内から見る外の景色や室内に使用されている素材が醸し出す雰囲気など、写真ではわからないことがたくさんあり、今まで持っていたイメージが大分変わりました。また、ヨドコウ迎賓館との共通点もたくさん見つかりました。

今後もライトについてさらに勉強して、リニューアル後は当館での説明にも生かしていきたいと思います。

ツアー中にご教示いただいた遠藤現さん、お世話になったトラベルプランの酒井さんやツアーでご一緒させていただいた皆様に感謝すると共に、訪問先の皆様にもお礼を申し上げます。また、このブログをご覧いただいた方に少しでもご参考になれば幸いです。

このツアーは毎年開催されていて、今年も6月に行われる予定です。ご興味のある方は、是非参加されてみてはいかがでしょうか︖
株式会社トラベル・プランホームページ︓http://www.travelplan.co.jp/

この記事は2018年3月1日、3月6日にヨドコウ迎賓館のブログに掲載されたものです。
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